リフォーム日記 #1

最近家のリフォームをしている。ここ数年の興味がサウナやDIY、ビカクシダみたいな物理空間に向いているのもあって、家づくりはすごく楽しい。

仕事に通じるものも多いなと思っていて、今回のリフォームもちょっと規模の大きなプロトタイピングだと思ってる。その試行錯誤の過程を自分用に残しておこうとふと思った。

家を買った

もともと自分は賃貸派で、1.5年に1度は引越しするぐらいに転々とするのが好きだった。一昨年の夏には1ヶ月ホームレスになり、地方を転々とワーケーションしてたこともあった。気分によって生活や仕事をする場所はコロコロ変えられるのが理想だと思ってる。

blog.deg.ooo

自分の家を居心地いいようにカスタムするのは好きで、賃貸DIYをいろいろとやったものの、物足りなさを感じるようになった。あとは資産的な意味でずっと賃貸に住み続けるのもなぁ…という気持ちも。

そして去年の秋頃、前職の退職日が決まったのも手伝って、勢いで都内に中古マンションを買った。思い立ってから引渡しまで、2ヶ月ぐらいだった。資産観点でいまの相場で買うことの是非はあると思うけど、それよりも自分の好きなようにできる砂場が欲しかった気持ちが強い。

物件探しから住宅ローン審査など、物件引渡しまでの諸々はポッドキャストで喋った。

resize.fm

買っておいてあれだけど、「東京に定住する」ことに引っかかる気持ちはずっとあり、いつかは住み替えたり、多拠点生活したりしたいなと思ってる。そういう意味で、今回のリフォームはプロトタイピング。

リフォーム会社を探す

リフォームが目的化している自分だけど、将来のリセールを考えると古すぎるマンションは気が引けた。結局、築14年のほどよい中古マンションに落ち着いた。床や建具に傷みが割とあったので、すぐ住みたい人は避けるであろう丁度いい物件。指値交渉も通ってラッキー。

金利も安いので購入資金はフルローン (頭金0) にしたものの、リフォーム代はローンにいれず自己資金でやることにした。見積もり取得でスケジュールがタイトになることや、ローンの選択肢が狭まることを考えると、まあこれで良かったのかなと思ってる。とはいえ自己資金なので、予算は少ない。

物件の契約がまとまりつつある頃合いで、ぼちぼちリフォーム会社を探し始めた。とはいえどう探して良いのか全然わからなかった。「リフォーム」というビッグワードでググってでてくる会社をみてもなんかピンとこなかった。

苦し紛れに、DIYしてるときによく見てたtoolbox (センスが良い建具や建材が多い) の施工事例集からリフォーム会社を見まくった。

www.r-toolbox.jp

そんなときにSUVACOというマッチングサイトをしった。SUVACOのエージェントに好みを伝えると、合いそうなリフォーム会社を無料で紹介してくれる。きっと送客フィーが発生してるのだと思うが、いち施主としては便利。ヒアリングが丁寧で良かった。

suvaco.jp

ひとくちにリフォーム会社といっても、設計業務のみ請負うデザイン会社、物件探しから施工まで担当する不動産会社、設計業務もやる施工会社など、オリジンや強みが様々だと分かってくる。

最終的に自分で見つけた1社 (小さなデザイン会社) と、SUVACOで紹介してもらった2社 (中規模デザイン会社、施工強めの会社) にまずは軽い気持ちで話を聞きに行った。

デザイン会社を選択肢に入れたのは、設計業務がどんなことするのか知りたい気持ちや、デザイナー (建築士) がどんな提案をしてくれるのか知りたい気持ちがあったから。自分である程度図面を引けたり、隅々までこだわりが強い人は、施工強めの会社とやるのもいいのかなと思うし、自分もリフォーム2周目はそうするかもしれない。

リフォーム業界の慣習を知る

リフォーム業界なのか建築業界なのかわからないが、どの会社も初回打ち合わせを済ませたあと、(契約結ばず) すぐに現地調査に入り、リフォームプランの提案が始まるのに驚いた。Web業界で言えば、契約結ぶ前にデザインをはじめて、ワイヤーフレームを即納品してるようなものだと思うが、それが普通らしい。

そういう慣習もあるからか、大手デザイン会社の場合は、リフォームプランの提案前に、契約と設計料の頭金を支払うような流れの会社もあるらしい。そのほうが健全だし、契約があったほうが施主としても安心できるのでは…と思いつつも、意図せずコンペのような形になってしまった。

ムードボードをつくる

各社と話す前に、自分好みの事例を集めたムードボードを作ることにした。もともと雑誌やインスタで見かけたものをスクショしたりしてたので、それをPinterestに集めていくだけ。あとはPinterestが提案してくれる写真で好みがあればピンしていく。そのPinterestボードをそのまま各社に共有した。

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仕事でもロゴとかグラフィックデザイン系の依頼をするときは毎回やっているが、これはリフォームでもやってよかったなと思う。

自分の好きなテイスト (工業的, 無機質, クリーン) や、素材 (オーク, ラワン, モルタル, アイアン) が分かってくると意思決定もブレないし、先方デザイナーとの意思疎通が回数少なく済む。

実際、初回提案のプランを見て意図がうまく伝わってるなと感じたし、先方にも楽だったと言われた。特に会社によっては、フロントに立つのはコーディネーター的な人 (ノンデザイナー) だったりするので、言葉でなくビジュアルで意思を伝えるのは大事だと思う。

サウナツクリタイ

当初は予算も少ないし部分リフォーム程度で…と考えていたが、どんどん「この壁壊して間取り変えたい」や「躯体現ししたい」みたいな気持ちが出てきて、最終的には「家にサウナ作りたい!」となった。リセールとは…?

ホームサウナには大きく3パターンある。電話ボックスみたいなものを部屋に置く据置き、それを備え付けるビルトイン、そして完全にオリジナルでつくる造作。あとは庭があるならテントサウナも。

軽く調べてみると、据置きやビルトインは150~200万するものの、持ち家なら造作のほうが案外安く済むことが分かってくる。ここまで来ると我慢できず、止める人間も居ないので、よしやるかとなった。

リフォーム会社を決める

最終的にはtoolboxの事例集からたまたま見つけた、小さなデザイン会社にお願いすることに決めた。決め手はこんな感じだった。

  • 社長とデザイナーの2名体制で、初回からデザイナーと直接話ができたこと
  • デザイナーが自分が好きな家具屋の出身だと知ったこと
  • 自分の想像を超える提案をもらえたこと

特に3つ目は大きい。偉そうな話だが、先のリフォーム業界の慣習が影響しているのか、他の2社は自分の出したアイデアを、ただ図面に落とした金太郎飴的な提案が多かった。正直それなら施工会社と直接やりとりしたほうがいいなと思ってしまった。

この会社は打ち合わせ中にぽろっとできたアイデアを、その場でスケッチしてくれたり、自分が異分野のデザイナーと仕事する上で求めてたものに近く、テンションが上がった。

なにより、造作サウナというイレギュラーでめんどくさいであろう話を面白がってくれたのが一番の決め手。


という感じで、順調風に書いてるけど、年末年始もあって施工会社の相見積もり (デザインと施工で契約が別になる) が遅れ、ようやく工事開始が見え今に至る。二重家賃よ…。

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