仮ぐらし2020

もう2ヶ月前、仕事しながら地方を転々としていた。しばらくないことだろうから今更ながら記録しとく。

引越しに失敗した

きっかけは引越しに失敗して家を一時的に失ったこと。緊急事態宣言中に1ヶ月1歩も外に出なくても平気な人間が、ステイするホームをなくした。

リモートワークをメインに働き方を変えることにしたのもあり、更新のタイミングだった6月末で引っ越すことにした。2ヶ月前退去予告が必要な物件だったので、5月頭には物件を決める段取りで、3月には物件探しを始めた。退去予定の3ヶ月以上前から動いていてどうして引越し失敗するのか…。

今思うと、コロナ禍で物件の動きが一時止まった (物件が出ない、内見できない) こと、逆に緊急事態宣言明けは急激に早くなったこと、自分の身分的に審査に時間がかかること (個人で借りるのに会社の決算書が必要になったりする…)、仲介業者の希望的観測を鵜呑みにしたこと…などいろいろある。

とりあえず退去日の1週間前に新居の審査が通ったが、この時点で退去から入居まで1-2週間程度は日が空くことは決まった。仲介業者からは「7月20日入居可能な物件ですが、おそらく7月初旬には入居できます」とのこと。

その程度なら適当に都内のホテルなりAirbnbなりですごせばいいか〜気分転換にもなるし…と考えていた。

仮ぐらしの準備

まず問題になるのが家財。これは一時保管してくれる引越業者を探した。ちなみにトランクルームを契約して一時的にそちらに入れる手段もあった。

どちらにせよ、搬入・搬出が2度あるので通常よりは引越し代は高くなる。相見積もりを複数取ったり交渉した結果、引越し2回分+保管料で総額4万円で契約できた。

次に郵便。郵便は不在届というものがあり最大1ヶ月は局留めにできることを知った。さらに不在届と転送届を同時に出すことで、1ヶ月後に新居への配達を再開できる。

あとは滞在場所をどうするか。コロナ以前からリモート多めで働いてきたこともあり、モバイルWi-Fiさえあれば仕事はできる。とりあえずこんな条件で探した。

  • 入居日が確定次第すぐに引越ししたいので、1週間ごとに様子を見つつ宿を変える
    • ただしいつ入居できるのかは仲介業者や管理会社次第…。
  • なるべく人に会わずに生活できる環境
    • 一棟貸しの宿、フードデリバリーの充実度
  • 部屋からの眺望の良さ
    • 部屋に引き籠もっていても気分転換になる場所
  • 将来的に住みたい場所
    • 近い将来東京から出るのもありかなーと思っているので、そのテストも兼ねて

条件だけ決めて、どこに行くかはノープランで退去日を迎えた。家と家財を一時的に無くしてみると、なぜか気分はスッキリした。

この時点では1週間で入居できるのでは…と思っていたのであった…。

Work from 静岡

会社で静岡に合宿所的なワンルームを借りていたので、取り急ぎはそこに行くことにした。

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ごく普通の住宅街だけど、屋上にいくと天気が良ければ富士山も見える。 作業用にヘリノックスチェアを持っていったのは良かった。

タイミングよくUberEatsが7月から始まっていたので、ほぼ引き篭もって過ごす。

静岡いいな住んでもいいな…と思っていると仲介業者から連絡。「入居は7月中旬なりそうです、7月15日を目処に交渉します」とのこと。

REINSには7月中旬と出ていた物件だったので、まあそういうこともあるかとこの時は思った。

Work from 鴨川

静岡で引き籠るのも飽きてきたので次はなんとなく京都へ。Airbnbで鴨川沿いの一棟貸し宿を予約した。

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ここはAirbnbには珍しく朝食付きの宿。どこで朝食を食べるのかと思ったら、オーナーが毎朝ドアの前に届けてくれる。近所のカフェで買ったパンやスープで美味しい。完全非対面なので、オーナーの顔はわからない。

見知らぬ家に行き、チェックイン・チェックアウトをセルフで行い、ドアを開けると朝食が置き配してある体験は、コロナ禍にはぴったりだがディストピアみも感じる。

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ここで仲介業者から連絡が途絶えつつあったので、つついてみると「管理会社が現況確認したところ、部屋に思わぬ損傷を発見したとのこと」と伝聞。いまさら現況確認していることに不穏な空気を感じつつ、宿の延泊もできなかったので次の場所へ。

Work from 福岡

Zoom飲みをしていたら、福岡の今宿 (ほぼ糸島) にあるAirbnb宿をお勧めしてもらったので、即予約。 京都から博多まで新幹線移動。ガラガラで完全に疎だった。

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わりと古めの家だったがオーシャンビュー。窓から海しか見えないと、海に浮かんでるように錯覚する。

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ほぼ雨日和だったが、雨の海を眺めるのもまたよかった。近くのお店が宅配をしていたのでそれで過ごす。

海を見ながら1週間の引き籠り。仕事やプライベートでZoom越しに喋る機会は多いので、感覚としては東京にいるのと変わらない。

知人のデザイナーたちとDiscordつなぎながらゲームしたり、幼なじみとZoom飲みしたり。仕事は会議はもちろん、Zoom面接したり、ユーザーインタビューしたり。

なんなら普段よりも人と話してる気がする。

ふりだしに戻る

そんな感じで過ごしていたら、仲介業者から「損傷修復のため急遽リフォームするらしく、入居が9月になりそう」と連絡をもらう…。申込後にそんな後出しあるのか…。

申込みをして審査が降りたとはいえ、まだ契約前なので後ろ倒しても問題はないのだろうが、募集要項から2ヶ月後ろ倒しされるのは不誠実さしか感じない。管理会社(三菱地所)の現況確認の段取りの悪さを感じつつも、おそらく仲介業者も希望的観測で話していたんだなと思い、それを鵜呑みにしてた自分も悪い…。

流石に9月までこの生活は厳しいので、新居を探し直すことに。まさかのこのタイミングで振り出しにもどる。仲介業者の仕事ぶりも信用ならないなと感じ、申し訳ないがここで見切りをつけることにした。

Work from 広島

宿の期限がきたものの、次のアテもない。新居の予定も無い。冗談でホームレスと周りに話していたが、本当にそうなった。

もともとは福岡から南下して九州を回ろうかなと思っていたが、この時期はちょうど九州豪雨。とりあえず博多のビジホで一泊したのち、副業でお手伝いしている会社がある広島に行くことにした。

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仕事の用事は特に無いが、広島自体行ったことなかったので完全になんとなく。前日でもセルフチェックインの宿を取れるAirbnbは便利。

週末は宮島にも少しだけ行ってみたが、フェリーは自分1人だけというガラガラさ。牡蠣たべて穴子丼たべて鹿をながめて帰った。

気になってたWoltも使ってみた。フィンランド発で日本は広島からスタートしているフードデリバリーアプリ。独自UIが多くインタラクションも作り込みが凄い。

リモート内見&申し込み

家どうするかな…と思ってたところ、仲介業者に務めている後輩の奥さんに助けてもらい、完全リモートで物件探しから内見までさせてもらうことに。

引越業者に預けている家財もあったので、なるべく早く次の新居を決めたかった。

結局、引越しするはずだった物件から1キロ離れたところにあるマンションに申し込み。LINEのビデオ通話で、リモート内見させてもらい、15分ほどみて即決。審査も急ぎで通してもらい、すぐに入居日も確定した。

最初からこうしておけばよかった。

Work from 竹富島

ついに旅を終える期限が確定した。気分も晴れやか。しかしまだ入居日まで1週間ある。

次はどこいこうか、、とりあえず梅雨から逃れたい、沖縄いこう。ということで完全に勢いで、広島空港から沖縄に飛ぶことにした。 星のや竹富島にリモートワークプランがあることを思い出し、急遽予約。ハイシーズンにしては安かったのと、連泊プランで6割引。それでも今思うと高かったが、完全に仮ぐらしハイだった。

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コロナ禍の竹富島はさすがに飲食店も休業ばかり、水牛もいない。もともと観光地化してないことが売りの島だが、本当に何もない。今回の旅にはそれがちょうどよかった。

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最後の数日は仕事も休暇にした。結局PCは開くので、会議に出るか出ないかの差しかないんだけど。 自転車かりて島を走って、海岸でぼーっとして、汗だくになって宿に戻ってプールに飛び込む、、という小学生の夏休みみたいなことをしていた。

ビーチでダラダラ。雲ってこんな近くて動きが早いのかと思いながら、インターネットしてた。

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帰りは石垣島経由で羽田へ。竹富島に比べると石垣島は大都会。そこから飛行機で東京に戻ると脳がバグる。

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そんな感じで色々あったけど、1ヶ月のホームレス生活の末に新居にノールック入居した。

ワーケーション向けの場所とは

こんな感じで無計画がすぎるけど、所謂ワーケーションをやってみた。結果として観光地ばかりを巡っていた。

バケーションと違ってワーケーションは部屋ですごす時間が長い。部屋から見える景色を変えることにお金を払ってる感覚。

景色が変わり気分転換できれば、家の近所でワーケーションでもいい。いま都市としてすぐに想起する場所は、観光地ばかり。もちろんそれらもワーケーションに向いてるけど、他の都市にも可能性はあるはず。

今回で言えば静岡。滞在したのは普通の住宅街だったけど、それはそれでいい気分転換になった。景色・眺望、設備 (椅子と快適なネット環境) 、周りの飲食 (観光地的な食事ではなく、普通の食事) みたいな軸でワーケーション向けの場所を探したい。

…みたいなことをぼんやり考えていた。

おわり

もともと地方出身で、学生時代は北海道で車無し生活をしていたはずが、上京して東京の便利さに慣れきってしまった。 独身一人暮らしの自由が効く身で、仕事も8割はリモートでやれる。東京に住み続ける理由はどんどん減っていくのに、なぜか離れがたい便利さに縛られてるような感覚があった。 今回いろんな場所を転々としてみて、その感覚が薄まった気がする。